明石工業高等専門学校 梶村好宏ホーム

研究テーマ

1 宇宙用電気推進システム(推進エンジン)に関する研究

1.1 宇宙放射線防御と推進力発生機構を兼ね備えた磁気プラズマシールドの性能評価および性能向上に関する研究
宇宙空間では、太陽風や高エネルギーの宇宙線にさらされ、これらから宇宙機や、有人飛行が実現した際の人体を防御する技術の確立が急務である。この研究について、JAXAと共同で実施する。

1.2 次世代宇宙推進システム「磁気プラズマセイル」の研究開発
イオンエンジンよりもさらに高速航行が可能な次世代の宇宙推進システムとして、磁気プラズマセイルの研究を行う。 磁気プラズマセイルは、超電導コイルを宇宙機に搭載し、電流が作る磁場を帆として、太陽風プラズマから電磁気学的な力 (ローレンツ力)を得る推進システムである。磁気プラズマセイルが作る磁気帆をプラズマエネルギーの利用によって拡大 (つまり推力を増大)する手法の研究、磁気プラズマセイルのシステム設計および設計を行った上での地球‐木星間等の軌道計算、 等の研究を行う。(検索キーワード:磁気プラズマセイル)

1.3 イオンエンジンの高性能化/長寿命化を目指した研究
小惑星「イトカワ」への往復航行を成し遂げた「はやぶさ」に用いられたマイクロ波放電式イオンエンジンは、①推進剤であるXe(キセノン) をマイクロ波によって温めてプラズマ化し、②電場を用いてプラズマを加速噴射し、その反力で推進力を得ます。

このイオンエンジンの高性能化、長寿命化を目指し、イオンビームの軌道や加速部材料のスパッタリングによる損耗を数値的に評価し、 イオンエンジンの性能を評価します。この評価を受け、性能向上に向けた最適化を行い、設計指針を提案します。 また、開発された解析ツール(JIEDIツール)をWEB上で利用可能にするためのGUI開発も計画している。

2 電気エネルギー生成(レーザー核融合発電)に関する研究

2.1 高速点火型レーザー核融合炉(KOYO-Fast)の実現に向けた要素技術の研究
エネルギー枯渇問題の解決の為には、エネルギー(電気エネルギー)発生手法の革新的な発展が求められている。 その候補の一つとして、プラズマのエネルギーを利用した核融合発電がある。近年では、民間企業である浜松ホトニクス、 トヨタ自動車、トヨタ中央研究所でも開発が進められ、実現のための要素技術の研究が行われている。 大枠では、①炉用レーザーの低温技術、②大型素子の高耐力化、③核融合燃料の連続製造、連続供給技術開発、④炉材料の寿命、LiPbの循環、 トリチウムの拡散といった課題が挙げられる。非常に挑戦的であるが、これらの中から一つの課題を取り上げ、研究を行う計画である。

3 研究テーマ一覧

本科生
2013年度
レーザー核融合に用いる励起用レーザーの効率 化に向けた研究

ビームポート保護のための水銀循環システム設 計

イオンエンジンのアクセルグリッドの軸ずれ及 び傾きに対する寿命への影響評価

磁気ノズル併用型磁気プラズマセイルの推力評 価


2014年度
熱プラズマを用いた磁気ノズル型プラズマセイルの推力評価に向けた研究

レーザー核融合炉に用いる光源防御用の液体金属コイルシステムに関する研究

磁界を用いた核融合燃料球ターゲットの飛行姿勢制御


2015年度
人工衛星からの自動データ受信および表示システムの構築

液体金属を導体とした複数ターンコイルに関する研究

レーザー核融合燃料球ターゲットに永久磁石が作る磁場が及ぼす影響評価

磁気プラズマセイルの実現に向けたプラズマ生成源の開発


2016年度
LaB6熱陰極を用いたプラズマ源の性能評価

循環型液体金属コイル用の電磁ポンプの開発

推力発生機構を兼ね備えた磁気プラズマシールドの開発

異なる発振方式で低温動作するレーザーダイオードの性能評価


2017年度
低温動作におけるレーザーダイオードの性能及び寿命評価

金属粒子からの水素の脱離手法の検討

コイルガンによるレーザー核融合燃料球ターゲットの加速評価

熱プラズマ放出による磁気シールド強化方法の検討


2018年度
レーザーダイオードに磁場を印加した場合の性能及び寿命評価
核融合燃料ターゲット加速用コイルガンの効率改善に向けた研究
コイル磁場によるレーザー核融合燃料球ターゲットの姿勢制御評価
3次元ハイブリッド粒子モデルを用いた磁気ノズルの推力最適化

2019年度
レーザー核融合燃料供給のためのワイヤーターゲット共有システムの開発

レーザー核融合用燃料ターゲットの加速用コイルガンに関する研究

プラズマの環状電流を用いた磁気シールド強化に関する研究

小型プラズマ源を利用した減菌手法に関する研究



2020年度
コイル磁場を用いた宇宙デブリ除去方法の検討

CubeSat搭載の姿勢制御用磁気トルカの開発

人工衛星搭載用小型磁気ノズルの推力モデルの開発

リングカレントによる磁気シールドの性能向上評価

宇宙推進用小型磁気ノズルの製作と動作検証

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専攻科生
2015年度
レーザー核融合に用いる 励起用レーザーの効率化に向けた研究

3次元ハイブリッド粒子モデルを用いた磁気プラズマセイルの推力評価


2016年度
レーサ゛ー核融合に用いる光源防御用液体金属コイルシステムの開発

熱プラズマを用いた磁気ノズル型プラズマセイルの推力評価


2017年度
循環冷却と通電のスイッチング機能を有した 液体金属コイルシステムの開発

熱プラズマによる環状電流を用いた磁気シールド強化手法に関する研究


2018年度
LaB6プラズマ源を用いた磁気ノズルの性能評価

リチウム鉛を導体とした液体金属コイルによる 核融合レーザービームポートの磁場防御

2019年度
水素化チタン粉末からの水素脱離手法の効率化に向けた 研究

宇宙荷電粒子からの防御用磁気シールドの性能評価

2020年度
核融合発電に向けた連続供給ワイヤ燃料の位置補正システムの構築

3次元ハイブリッド粒子モデルを用いた磁気ノズルの推力最適化

数値シミュレーションを用いたリングカレント型磁気シールドの性能最適化

3 その他

梶村研究室では、JAXAや豊橋技科大、他の高専と共同で、人工衛星の設計、製造、打ち上げに関する共同研究を行っています。研究テーマとして、ミニ人工衛星を作る缶サットや人工衛星からの画像データ取得システムの開発等に取り組んでくれる学生も歓迎します。 卒業後は、大学編入、専攻科、就職、起業などさまざまな進路があります。課題研究→卒業研究では、学んだこと、実験などで身につけた技術をどのようにして実際の現場で使っていくのか、研究者、技術者としての基礎を身につける重要な時間です。皆さんの将来の進路において、十分に活躍する為の必要な能力、技術、ノウハウなどを先生方からの研究指導や議論の中で培ってください。研究室が異なってもかまいません。聞きたいことがあればいつでも相談して下さい。進路に応じて適切な指導を実施します。 以上。

  • *上記1,2に関する参考URL
  • 4 研究室の方針

    毎日少しでも研究を進めましょう。週一回程度の進捗報告ミーティングを行い、議論します。 研究で得られた成果は積極的に学会で発表しましょう!。気軽に教員室を尋ねてください(電気情報工学科、3階教員室)

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