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建設・測量生産性向上展視察
CSPI-EXPO 2022を視察しました
2022年5月25日~27日、幕張メッセにて開催された 第4回建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO 2022)を本校教員が視察しました。
CSPI-EXPOは建設業界・測量業界の次世代を担う、建機・重機・アタッチメント・建設DX・i-Construcionなど、進化し続ける業界最先端の製品・技術・サービスが一堂に集結した展示会です。幕張メッセホール内、屋外展示場での企業ブース出展の他、業界のキーパーソンによるセミナー、各社の最先端事例を紹介した技術PRセミナーなどが催されました。
展示会では上空から写真撮影やレーザーを使ったスキャンで地形を測量できるドローンや、GNSSの衛星情報を用いた測位システム、地上から精密に地物を3Dモデル化できるSfM、点群スキャナ、水中を探査できるソナーなど最新の測量技術や、マルチに用途を変え少人数でのオペレーションが可能なICT建機、現場での情報伝達を効率化したアプリなど様々な最先端技術が紹介されていました。
セミナーでは技術の紹介をはじめ、業界全体の悩みである「どのようにDX化していけばいいのか」ということについて、多面的な見識を拝聴することができました。新たな技術の導入には誰でも抵抗感があるものであり、長い目で見つめた単なる機器導入で終わらないゴールの設定や、新たな導入技術への現場からのフィードバックとコミュニケーションを大切にした問題ひとつひとつへの対応がDX推進への急がば回れであると心得た次第です。
展示会全体を見渡すと、一口に「最先端技術」といっても各社アプローチは様々であることが見えてきます。大規模現場での精密な測量を強みとした高品質な製品を打ち出した出展から、それらの高額な技術には手が出ない、ハイエンド機は必要ないといったバランスを重視したものまで多様な技術がありました。またそれらのレンタルや作業代行、技術レッスンのサービスも魅力的な商品となっています。小規模現場に適した手持ち端末でのスキャナなどもあり、どの技術をどこに使うか見抜くのも必要な感覚であると感じます。GNSSによる位置情報補正サービスなどは、通信会社も参入し、受信機も小型化軽量化することで益々身近なものになってきました。計測、監視、操作、データ保存が1人でも作業できる情報の集約も省力化の目玉のようです。ハードやソフトウェアが種々販売されることで複雑化したシステムを、ひとつのソフトで操作できるようまとめて使いやすくしたパッケージ化もニーズがあります。生産性向上の面で見ても、今まで現場で行ってきた製作を工場の既成製品化する効率化、工場でしか行えなかった作業を現場で行えるようコンパクト化した効率化のように、それぞれ逆のアプローチから効率化がはかられています。現場の安全管理もコロナ禍での感染対策から熱中症に対する管理、腰痛防止や労務時間管理まで、単なる建設事故を防ぐだけには留まらなくなっており、個々人の情報の集約と分析も建設現場に必要なサービスであるようです。
これらの無限とも思える商品・サービスから必要なものを見極めるためにも、最新技術に触れる貴重な時間でありました。
日進月歩で進むIT化は、建設分野をはじめ工業全体でめまぐるしい進化を遂げています。教育機関では最先端技術をカリキュラムに加えることで時代に対応した技術の習得を支援していかねばなりません。しかし、単純に最先端機器を導入し、操作方法を学ぶだけでは原理の理解に乏しく、複雑化・ブラックボックス化した最新技術に振り回されることとなるでしょう。学校で学んだ機器やソフトウェアの操作方法が、社会に出ていざ現場に携わるころには既に陳腐化した古い技術になっていたということも起こりえます。
本校でのDX推進では「どんな背景で技術改良がなされ、既存技術の問題点のどこが改良されるのか、新たな問題が生まれていないか、携わる現場にはどのくらいの精密さが必要であり、かけられるコストと比較した場合果たして有用なのか?」を広い視野で分析できる技術者としてのセンスを磨き、最も適した技術の取捨選択ができる能力を養いたいと考えています。そのため、既存の実験や実習内容を単に最新機器に置き換えるのではなく、時にはアナログな機器も使用して、原理、理論、感覚、工程が理解できる素地をしっかりと作り、最先端技術の体験により実社会で求められる複合的な技術、現場のスタンダードに適応できる時代感覚が身につくカリキュラムを整えます。
例えば、展示会で注目されるような最先端ドローンを使って現地を測量するSfM技術や点群データへの変換と処理、3Dモデル化とその活用方法といった技術を学ぶことも大切です。一方で、机上で自分の目と定規を使って2枚の写真から地物の位置関係を導く写真測量が、これらの最新技術の基となる原理であることはいつも頭の片隅に置いておける。そのような些細な経験が、マニュアルにないトラブルを抱えた時、自分を助けてくれる礎になります。そして、常に本当にその技術がこの現場に最適であるのかを問い続けられる視野と熟考を忘れない、思慮深い技術者への一歩であると考えます。
学校の中からでは見られない業界の技術は、これからのカリキュラムや教育の道筋を考えるとても良い機会となりました。今回の展示会で得た業界の最先端の情報を元に、時代にマッチした最先端教育と、変化に向かいあえる地に足の着いた教育を今後も模索していきたいと思います。